iPhone、iPadの成功は「アプリを提供する世界中のデベロッパー」を「App Storeに参加させる事が出来た事」によりもたらされた。
そしてそのApp Storeの成功はそれより前、iPodのiTunesがあったからだという事は誰もが知るところである。
そしてさらにiPodの登場以前にはウォークマンで世界を席巻していたのはSonyなんだから、Sonyにも時価総額世界一になるチャンスはあった。
ウォークマンもiPodも登場した時代背景は違えど、ともに当時の人々のライフスタイルまでも変えてしまう新しいカテゴリを創造した製品であった。
また、当時のSonyも現在のAppleにヒケをとらないほど、熱狂的な信者を世界中に獲得していたし、前身が東京通信工業というだけあってSonyもまた早くから携帯電話を作っていた。
では、何が両者のその後を分けたのか?
SonyもAppleもハードウェア以上にコンテンツが重要だと知っていた。
問題はどうやってコンテンツを揃えるか。
その手法は全く違っていた。
Sonyはレコード会社と映画会社を買った、あるいは作った。
(ソニー・ミュージックエンタテインメントの沿革についての詳細は、wikipedia等を参照して欲しい)
さらにはゲーム会社、金融会社と、あらゆるデジタルコンテンツのラインナップを増やしていった。
つまり、自前でコンテンツを揃えようとしたのである。
しかも、この投資は成功してしまった。
それが証拠に、今も本体が赤字で苦しむ中、デジタルコンテンツ部門は黒字である。
しかし、この成功が後の不幸の始まりだったのである。
その理由をあげる前に、Appleについても歴史を振り返ってみよう。
AppleはマウスにしてもマルチウインドウにしてもMicrosoftより常に先に素晴らしい製品を世に出していた。
それができたのは、ハードからソフトまで、全て自前で開発していたからだ。
しかし、ハードやアプリを作ってくれる世界中のデベロッパーを味方につけたMicrosoftに負けた。
ジョブズもコンテンツの重要性を知っていた。いや、思い知らされていた。
そして学んだ。誰を味方にすべきかを。
デベロッパーはMicrosoftがおさえている。
ジョブズはクリエイターやアーチストを獲得しにいった。
そしてiTunesにSony以外のコンテンツホルダーを参加させることに成功した。
iTunesを使って、自身が取締役を勤めるディズニーのライバル会社達の収益を改善してみせた姿は、自前コンテンツにこだわったSonyとは対象的だった。
デベロッパー達に自分達の作品を世に出す場を提供するためiTunesをApp Storeに進化させた。
単に開発環境を提供したにとどまっていたMicrosoftの上をいき、流通まで面倒みようというわけた。
世界を変えるには自分ひとりでは出来ない。
自分の利益より先にみんなの利益を考える。
それがやがて時価総額世界一の企業をつくる事になる。
学ぶべきは我々ひとりひとりかもしれない。